Research
研究最前線
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研究成果は学生たちの努力の賜物です。
担当してくれた学生からの声をお届けします。
Synthesis of partially reduced biaryls from thiophene S,S-dioxides and styrenes
K. Ohira, K. Numata, S. Yoshida*
Bull. Chem. Soc. Jpn. 2025, 98, uoaf052. (優秀論文に選ばれました)
ジヒドロベンゼンは、ベンゼン環の一部が還元された構造の化合物であり、その反応性の高さから、合成中間体として注目されています。しかし、従来の合成法では過酷な条件を要し、また導入できる置換基が限られていることから、新しい合成法の開発が求められてきました。これに対して私たちは、チオフェンジオキシドという電子不足なジエンに注目し、逆電子要請型Diels−Alder反応(以下IEDDA反応と表記)と、引き続くSO2の脱離によって多彩なジヒドロベンゼンを簡便に合成する手法の開発に取り組みました。加えて、反応速度の測定やDFT計算を行い、置換基の種類や位置による反応性の違いや、詳細な反応機構について明らかにすることができました。
研究の立ち位置と成果の概要
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苦労した点
反応速度の測定です。ほんの少しの濃度の違いや不純物の混入が測定の誤差に大きく影響するため1つ1つの作業を慎重に行う必要があり、とても大変でした。しかし、何百回の測定で得られた数値をグラフに起こし、それが秩序立って綺麗に並んだ時、「ここまで頑張って測定を続けて良かった」と思うことができました。
大平 佳代子 さん (修士課程2年生(2025年))




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まとめと今後の展望
私たちは、チオフェンジオキシドとアルケン類のIEDDA反応により、多彩なジヒドロベンゼンの合成に成功しました。得られたジヒドロベンゼンはそれぞれ特徴的な物性を有するため、さらなる変換により、多彩な機能を持たせることが可能であると考えています。また、反応機構解析によって得られる知見をもとに、多彩なチオフェンジオキシドとアルケン類との反応において、反応性の高精度な予測が可能になると期待されます。


Brの脱離を伴う芳香族化
開環によるαアリールケトンの合成





