Research
研究最前線
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研究成果は学生たちの努力の賜物です。
担当してくれた学生からの声をお届けします。
Synthesis of a-arylacetophenone derivatives by Grignard reactions and transformations of arynes via C–C bond cleavage
Y. Hoshi, S. Tabata, S. Yoshida*
Chem. Commun. 2025, 61, 3752.
https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2025/cc/d4cc06769j
α-アリールケトン類は、医薬品や天然物などに幅広く見られる重要な化合物群であり、特に置換基の密集したα-アリールケトン類の合成法の開発が求められています。近年、パラジウム触媒を用いたケトンのアリール化反応などが開発されておりますが、過酷な条件を必要とすることから官能基許容性が低く、単純な原料から高度に官能化されたα-アリールケトンを合成することはいまだに挑戦的な課題であると言えます。
これに対して本論文では、ターボGrignard試薬を作用させて調製した有機マグネシウム試薬をベンゾシクロブテノンに対して作用させることで、幅広いベンゾシクロブテノールが合成できることを明らかにしました。さらにこのアルコール体に対して適切な活性化剤を作用させることでアラインが発生し、多彩な置換基を有するα-アリールケトン類を合成することに成功しました。
研究成果の概要
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研究の背景
私たちの研究グループでは最近、ベンゾシクロブテノン類の珍しい反応性を見つけることができました。具体的には、アラインと高い反応性を有するフラン存在下、フェニルリチウムを作用させることによって、カルボニル基への付加と、続く炭素-炭素結合の切断を経てアラインが発生することを発見しました。しかし、フェニルリチウムが反応性の高い求核剤であり、利用できる基質に制限があるという課題が残っています。
これに対した、私たちはターボGrignard試薬を用いて調製した有機マグネシウム試薬をケトンに対して作用させることで、エステルやシアノ基といった繊細な官能基を有するベンゾシクロブテノール類が幅広く合成できることを明らかにしました。さらに、フッ化セシウムという穏和な活性化剤を作用させることで効率よくアラインが発生し、多置換α-アリールケトン類の合成に成功しました。
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苦労した点
研究で最も苦労した点は、ベンゾシクロブテノールの合成条件の検討でした。求核付加反応の初期段階では、溶媒による反応阻害などの副反応が生じ、目的物を高収率で得ることが困難でした。そこで、NMR解析や文献調査を綿密に行い、反応条件を詳細に検討した結果、目的とする反応を効率的に進行させる条件を明らかにすることができました。
星 幸崇 さん (修士課程2年生(2025年)) [中央が星さん]







