Research
研究最前線
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研究成果は学生たちの努力の賜物です。
担当してくれた学生からの声をお届けします。
Click assembly through selective azaylide formation
M. Hamada, G. Orimoto, S. Yoshida*
Chem. Commun. 2024, 60, 7930. https://doi.org/10.1039/D4CC02723J
複数の機能を合わせ持つ多機能性分子が有用である一方で、合成が難しいといった問題があります。この問題に対してハブとなる分子(プラットフォーム分子)に対して集積する手法が、集積する分子を変更するだけで多様な多機能性分子が合成できるということから盛んに研究が行われてきました。この際、課題が2つあります。1つ目がそれぞれの連結の確実性、2つ目が複数の反応点を区別する方法が必要な点です。これに対して本論文では確実な連結手法であるクリック反応によって反応速度による違いを利用して順に連結する手法を開発しました。具体的には、以前私たちの研究グループと他の研究グループが開発した安定アザイリド形成を、2種の周囲の環境が異なるアジド基 (N3) の反応性を区別することで2回プラットフォーム分子内に組み込むことに成功しました。
研究成果の概要


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研究の立ち位置
本手法を確立することで、今までは合成が難しかった医薬品や多機能性プローブなどの候補化合物群を簡便にアクセスできるようになり化合物ライブラリーの拡大に貢献できます。この化合物ライブラリーを拡大することが医薬品開発のスクリーニングや生体分子の追跡に役立ち、ライフサイエンスを加速していくことにつながると考えています。
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苦労した点
2つのアザイリドの選択性を調べるところです。具体的には、2種のアザイリドの性質が似ていることから存在比を調べることが難しかったです。複数の核種のNMRの測定結果から総合的に判断することで誤りなくデータを解析することができました。
濱田真代さん (修士課程2年生(2024年))
