Research

高歪み中間体を経る反応

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ベンゼン環は、有機化学のシンボルとしても使われる代表的な骨格です。もちろん、生物活性化合物の創製などで重要です。合成法に関する研究が長年行われてきましたが、置換基が密集した場合などの合成が容易でない場合も未だ多く、課題は山積しています。これに対して、私たちは、高歪み分子であるアラインを中間体として用いる合成化学を発展させ、従来法ではアクセスしにくかった多置換ベンゼン類の簡便合成法を開発してきました。さらに、アラインに関する一連の研究で培った知見をもとに、シクロヘプチンなどの短寿命環状アルキンを利用した合成化学も研究しています。

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Chem. Commun. 2020, 56, 7147.

https://doi.org/10.1039/D0CC02788J

Open Access

Chem. Commun. 2015, 51, 8745.

https://doi.org/10.1039/C5CC01784J

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アライン発生法開発で得た知見を活かし、シクロヘキシン、シクロヘプチンなどの、6/7員環の短寿命高歪み環状アルキンを、スルホキシド–金属交換して反応を鍵と発生させる手法の開発に成功しました。さらに、シクロヘプチン類のカルボマグネシウム化反応の開発にも成功し、多彩な環状アルケンを簡便に合成できる新手法を開発しました。